STEAM教育を広めたい!ドローンスクールが描く日本教育の未来とは

イベントレポート

株式会社Kanatta(東京都目黒区、代表:井口恵)が運営する、女性のドローンコミュニティ「ドローンジョプラス」と、合同会社Casa(大阪府大阪市西区)が運営する学童「Casaアフタースクール」は、共同で小学生向けのドローン講座を開講しています。

Casaアフタースクールは、ピアノやそろばん、英会話や書道だけでなく、プログラミングやドローンなど様々な習い事ができる環境が整っています。
今回、弊社代表の井口と、Casaアフタースクール・Casaレッスン(併設の習い事施設)を運営する前川氏の対談が行われ、両者の創業の経緯や、ドローン講座を開講するに至った背景などを伺いました。

▼Casaアフタースクール
https://casa-afterschool.com/

▼ドローン講座に関する記事はこちら


株式会社Kanattaの創業と、ドローン業界参入のきっかけは?


井口:株式会社Kanatta(以下、Kanatta)は「ジェンダー平等の実現に貢献します」というビジョンを掲げ、2016年に創業しました。

私はもともと監査法人で公認会計士として働いていましたが、職場の9割が男性で、勤務時間も朝方の4時まで働くことが当たり前でした。
一方で、ファッション業界では、ジェンダーバランスが逆転して、定時上がりで子育てをしながら仕事をしている方も多く、働きやすい職場でした。

役員クラスになると全員男性で、女性が活躍する機会が限られていることを知り、元々起業したいという想いもあって、ジェンダー平等の実現をビジョンにKanattaを立ち上げることにしました。

当時、海外ではドローンがすでに流行っており今後日本でも必ず伸びていく業界だということはどのデータを見ても明らかでした。
しかし、国内のドローン業界はラジコン好きのおじさま世代が最初に参入したこともあって、ドローンパイロットの9割は男性。

実際にやってみたらわかると思いますが、ドローンパイロットは女性にもできる仕事です。
そこで、ドローンを使って活躍する女性を増やしたいと思い「ドローンジョプラス」を最初の事業として立ち上げました。

はじめはドローンの体験会イベントを商業施設で開催したり、プロモーション動画の空撮などをメインの仕事としてやっていました。

しかし、近い将来ドローン業界も自動操縦が主流となり、複数のドローンを管理する仕事にシフトしていくことや、小学校でもプログラミング教育が必須になったことも踏まえ、プログラミング分野は必要不可欠だと思って、ドローンを使ったプログラミング講座をスタートしました。


Casaアフタースクールの創業と、ドローンを使ったプログラミング講座をはじめたきっかけは?


前川氏:私はもともとエンジニアで、プログラミングの仕事をしていましたが、井口さんと同じように深夜まで仕事をすることが多く、3日間徹夜することもありました。

職場は男性が多くて、当初は女性はフロアに一人。
子供が生まれてからも育休取得後、時短勤務で仕事をしていましたが、2人の育児をしながらの仕事はとてもハードでした。

また、子供が体調不良の場合でも仕事に穴を空けられないので、重要な仕事は若手に任せるようになり、次第に自分がその職場で働く意義がわからなくなっていました。

ある時、小学校でプログラミング教育が始まると聞き、書籍やネットで調べると、海外ではSTEAM教育注1)プログラミング教育が盛んだということを知って、これはチャンスだ!と思い動き始めました。

 注1)STEAM教育とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)の5つの単語の頭文字を組み合わせた、IT社会に適応した人材を育成するための教育概念のこと。

はじめは会社員の仕事をやりながら、自分の子供にプログラミングのゲームやアプリを教えていましたが、次第にお友達も「一緒にやりたい!」となり輪が広がって行きました。

そして、教えているうちに子供への教え方のコツもわかってきて、周りでSTEAM教育に取り組んでいる人もいなかった事もあり、思い切ってプログラミング教室をスタート。

共働きの多い地域なので、学童と習い事を併設している施設があれば親御さんの送り迎えの負担が減るなと思い、ピアノの先生と共同で学童を立ち上げました。
ピアノ、プログラミングの他にも、英語、書道教室を併設し、今ではドローン、モンテッソーリ、お料理、そろばん、ヨガなどたくさんの教室を開講しています。

ドローンを使ったプログラミング講座は、子供にプログラミングを教える際に、パソコンの画面上だけでなく、何か動くものを使ってプログラミングを教えたいと思っていました。

インターネットで何かヒントを探していた時に、Kanattaさんの「英語×ドローン×プログラミング」をテーマにした講座の記事をみて連絡したのが講座を開講したきっかけでした。

▼「英語×ドローン×プログラミング」の講座に関する記事はこちら


両者が思うドローンを使ったプログラミング講座のメリットは何ですか?


前川氏:ドローンの魅力は、単に操縦だけでなく、ドローン×スポーツ、人命救助、空撮、農薬散布、プログラミングのように、掛け算が無限大にできるところです。

例えば、「ドローン×人命救助」というテーマであれば、ドローンを使って小さな人形を救出するという体験を、実際に子どもたちに実践してもらい、ドローンが社会でどのように活用されているのかを学びます。

ドローンキッズスクールで操縦のみを学ぶのでは、親御さんもスクールに通わせようという気持ちにはなりにくいですが、「ドローン×〇〇」を考えながら、最新テクノロジーを学んだ子どもたちが成長し、プロダクトを生み出す時に「これはドローンを活用すれば解決できる!」と創造力を働かせることができれば、スクールで学ぶ価値があると考えています。

井口:日本では2020年にプログラミング教育が必須になったばかりなので、先生も教え方を模索しているのが現状です。

子供達もいきなりやって上手くいかなかった場合、プログラミングに苦手意識が生まれるともったいないと思います。

ドローンを使ったプログラミング教育は、パソコンの画面上だけではなく実際に目の前でドローンが動くので、「プログラミングって面白い!」という体験ができる思います。


前川氏がSTEM教育ではなく、STEAM教育を推奨している理由は何ですか?


前川氏:教育にArt(芸術)を入れる必要性を非常に感じています。
日本の技術者は作ったものが動けば良くて、機能重視で商品をリリースする傾向がありますが、例えばスティーブ・ジョブスのアップル製品はデザインまでこだわり抜いたものをリリースしています。

これは、子供の頃からアートに触れる機会が少ない為、ただ動けばいいというものを作ってしまい、ユーザーに寄り添ったものを作り出せていないのが原因のひとつだと思います。

一人一人がもっと小さい頃からデザインやアートに触れて考える必要があると思い、STEAM教育の啓蒙活動を行っています。(笑)

実際、海外では小さい頃から美術館や博物館に行って、意見をかわすのが当たり前という文化があるので、日本でもそういった文化を取り入れて行きたいですね。

井口:私もアメリカで育ったので、美術館に行くことが普通でした。大人になってヨーロッパで美術館に行くと、5,6歳の幼い子供たちが遠足で来ていて、絵画の前に座って絵の感想を言い合っていました。これは日本には絶対にない光景で、アートの部分で確実に差がついているなと感じました。


理系分野で活躍されていた前川氏からみて、小さい頃からプログラミングを学ぶことの重要性は何だと思われますか?


前川氏:今の子供たちが大きくなる頃には、コンピューターやロボット、人工知能(AI)がどんどん増えていて、それをパーソナルカスタマイズして生きていく世の中になると予想しています。

コンピューターに指示を与えるのがプログラミングなので、それができないと仕事するにしても、プライベートを楽しむにしても差ができてしまいます。

デジタルネイティブな子供達は教えたらすぐに自分のものにしてしまうので、読み書きと同じ流れでプログラミングを嗜む時代になると考えています。

プログラミングは、最終的には地味な作業ですが、小さいうちから楽しく親しむことで、苦手意識を持たずつきあっていけると考えています。


日本の学校教育の課題や、今後期待することは何ですか?


井口:フィンランドのプログラミング授業は、まず生徒にやらせてみて、子供たちが助け合いながら取り組む中で、どうしても行き詰まった時に先生に助けを求めるスタイルで教えています。その方が子供たちも自分たちで考える力が付くので、日本もそういう風になったらいいと思います。

また、アメリカの授業は予習をしてくる前提で、予習で思ったことを教室でディスカッションするという形式を取っていました。日本に帰って来て、単に答えを教えてもらうだけでは、一人で暗記するのと同じだと感じました。

前川氏:個人的には小学校にはアクティブラーニングやディスカッション形式の授業にしてほしいと訴えかけています。すぐに変わるのは難しいと思う反面、声をあげることは大事だと思っていて、私の教室では主体的に考えるレッスンを実施しています。

今の学校の講義スタイルでは、子供たちは思考が停止してしまっていると感じています。

Casaの習い事ではとにかく子供たちに考えてもらおうと思って、敢えて答えを言わなかったり、プログラミングも失敗してもいいから「まずやってみよう!」と見守っています。


女性の働き方について、子育てをしながら働くことについて前川氏はどう感じていますか?


前川氏:子育てしながら、会社で働くのはとても過酷です。産後に職場に復帰したとしても、男性社員が多い職場で、重要な仕事ができない無力感でやめてしまう女性も多いと思います。

会社の制度だけでなく、社会全体の理解が進まないと厳しいのかなとも感じていて、例えばお客さんも「お子さんが熱を出したなら、そちらを優先して大丈夫だよ!」と言ってくれる社会になれば、職場に戻って行きやすいと思います。

また、会社に赤ちゃんを連れて行けるだけでもかなり変わると思います。

海外だと国際的な会議でも赤ちゃんを連れて来ているので、かなり理解が進んでいるなと感じます。日本でも声を上げ続けて、世に訴えかけていくことが大事だなと思います。


Casaアフタースクールの今後の展望について


前川氏:Casaアフタースクールの近くにある堀江小学校は、数年以内に大阪府内で人数が一番多い小学校(1,700人程)になるそうです。他の地域から引っ越して来る人が多く、子供が増えているのが現状です。

現時点でも堀江小学校は生徒数が1,300人くらいの規模になっていて、1学年8クラスあります。それだけ共働き世代も多いので、学校が終わってから「おうち」みたいに安心して過ごせる場所があったらいいな思っています。

また、習い事への意識も高く、子供にとって良い教育を受けさせたいと考えている親御さんが多いので、子供たちがプログラミングを使って最新のテクノロジーを学んだり、音楽や芸術的な観点を養ったり、「おうち」に居ながら専門的なことが学べるような場所を作りたいと考えています。


さいごに


今回の対談で、お二人の創業の経緯や想いを伺い、日本社会のジェンダー平等の現状及びこれからの未来についてお話しいただきました。

お二人のご経験から、ジェンダー平等を実現し、女性が活躍する社会にするためには、会社の制度だけでなく、社会全体の理解が必要なのだと知り、また、日本の子供たちが今後のIT社会を生き抜くためには、子供の頃からSTEAM教育を学び、楽しみながらプログラミングに触れ続けることが大切なのだと学びました。

前川氏と井口の考えている理念や実現させようとしている未来に共通点が多く、これから「ドローン」を通して協業していくことで、日本の教育や女性の働き方を変える一翼を担えるのではないかと期待しています。

ドローン×〇〇といったドローンの無限大の可能性にチャレンジしながら、ドローンジョプラスはますます成長していきます。

ドローンのことならドローンジョプラスへ!


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