近日、SNSや企業CMにてドローン空撮映像が使用されたり、イベントでドローンショーが開催されたりするなど、ドローンの活躍の場が徐々に広がりを見せている動きに合わせ、2023年12月8日に国土交通省より無人航空機を活用した配送サービスの事業化推進のため、新たに「レベル3.5飛行」の制度の新設が発表されました。
今回は、「レベル3.5飛行」をテーマに
「レベル3.5飛行の新設の背景は?」
「レベル3.5飛行とはなにか?」
といった観点から他のレベルとの違いや変更点を比較し、まとめてみました。
ドローンに関する法律制定は、2015年4月22日に総理大臣官邸の屋上に設置されているヘリポートの近くで、所有者が分からないドローンが発見された事件がきっかけです。
この事件をきっかけに、ドローンに対する規制案が生まれ、法律や条例といったものが整備されていきました。
事故がきっかけとはいえ、ドローンに関する法整備が進んだおかげで、様々な産業でドローンを活用する動きが活発になり、近年では「空の産業革命」といわれており、特に物流で新たな可能性を示す技術革新になるのではないかと期待されています。
日本国内の実用例として、空撮・農薬散布・測量・インフラ点検等が挙げられ、今後も広く活用されるのではないかと考えられています。
現在、政府は「レベル4飛行」の実現範囲を広げることを目標としており、都市部上空での荷物輸送など無人航空機の更なる活用が期待されています。
ドローン飛行において、「航空法」「小型無人機等飛行禁止法」「電波法」ほか、様々な法律によって規制されています。
今回キーワードとなる「レベル」とは、ドローンの社会実装のロードマップが作られていて、このロードマップ上の「到達点」のことを指します。現時点で、ドローンのレベル1〜4飛行まで設定されています。
(参考:「2016年度、小型無人機の利活用と技術開発のロードマップ」;小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会)
【レベル1飛行(目視内+操縦飛行)】
ドローンパイロットの見える範囲で飛行し、パイロット自身が操縦をします。
趣味等のドローン飛行や、空撮映像の撮影等が該当します。
【レベル2飛行(目視内+自律飛行)】
ドローンパイロットの見える範囲で、自動飛行機能を活用して操縦します。
自動飛行機能とは、事前に離着陸地点・飛行経路・速度・高度等をプログラムして飛行させるもので、ドローンジョプラスが参加した簡易研修を行った、農薬散布や測量等が該当します。(農薬散布の簡易研修の様子はこちら。)
【レベル3飛行(目視外+無人地帯(補助者なし))】
言葉の通り人がいない地帯(山、海水域、河川、森林、離島等)を、ドローンパイロット自身が見えない範囲まで自動飛行させることができ、河川測量や大規模なインフラ点検、荷物の配送等が該当します。
ちなみに「補助者」とは、飛行経路全体を見渡して、無人航空機の飛行状況及び周囲の気象状況の変化等を常に監視し、操縦者が安全に飛行させることができるよう必要な助言を行ったり、飛行範囲に第三者が立ち入らないよう注意喚起を行う人のことを指します。
【レベル4飛行(目視外+有人地帯(補助者なし))】
市街地など人が常にいる地帯で、ドローンパイロット自身が見えない範囲まで自動飛行させることができます。これが実現すると、都市部のドローンによる物資輸送や災害時の捜索・救助・救援などの分野で活用できるようになると想定されています。
なお、自動飛行では、飛行ルートや速度などをプログラミングによって設定することができることから、ドローンのIT制御に関する研究も進んでいます。
各レベルの概要について紹介してきましたが、今回制定された「レベル3.5飛行(目視外+無人地帯(補助者なし))」はどういったものかについても調査してみました。
まず、『レベル3飛行とレベル3.5飛行の違い』は、「補助者や看板の配置といった現在の立入管理措置」がレベル3.5飛行になることで撤廃されるという点です。これは、ドローンについてるカメラの性能の向上により、歩行者等の有無の識別ができるようになったため、その上空を操縦者がドローンからの映像を見ながら飛行操作できるようになったためです。
次に、『レベル3.5飛行とレベル4飛行の違い』は、飛ばせる範囲が違う点です。レベル3.5飛行の場合無人地帯のみ飛行可能で、レベル4飛行は有人地帯、つまり人の上を飛行することが可能となります。
「レベル3.5飛行」が新たに設けられたことで、道路や鉄道等の横断を伴う飛行が容易となり、ドローン配送の事業化がより拡大されると予想されています。
ドローンパイロットがレベル3.5飛行を行うにあたって必要な要件は
・操縦ライセンスの保有
・保険への加入
・機上カメラによる歩行者等の有無の確認
の3つになり、これらの実施により、立入管理措置の撤廃となります。
ドローン飛行レベルについて、詳細は国土交通省のホームページでご確認ください。
最後に、今回新設されたレベル3.5飛行とレベル3飛行、レベル4飛行の違いを表にまとめましたので、以下をぜひご参照ください!
【それぞれのドローン レベル飛行による違い】
レベル3飛行 | レベル3.5飛行 | レベル4飛行 | |
飛行可能な場面 | 目視外+無人地帯(補助者なし) 例:無人地帯(山、海水域、河川、森林、離島)での輸送 等 | 目視外+無人地帯(補助者なし) 例:無人地帯、道路線路を横断飛行する際、一時停止義務なしでの飛行 | 目視外+有人地帯(補助者なし) 例:市街地、友人施設の周辺、スポーツ中継や配送、測量や救助 等 |
規制 | ・立入管理措置(補助者、看板、横断歩道前の一時停止等) | ・立入管理措置(補助者、看板、横断歩道前の一時停止等)の撤廃 | ・立入管理措置 不要 |
必要事項 | ・国土交通省(DIPS2.0)への申請・国土交通省の許可承認を受ける※安全管理対策(立入管理措置を含む)等について個別で確認 | ・国土交通省(DIPS2.0)への申請・操縦ライセンスの保有・保険への加入・機上カメラによる 歩行者等の有無の確認 | 国土交通省(DIPS2.0)への申請・ 第一種機体認証・一等無人航空機操縦者技能証明書・国土交通省の許可承認を受ける※運航管理体制(リスク評価)を確認 |
いつから | 2015年11月 | 2023年12月 | 2022年12月~ |
現在、日本ではレベル4飛行の実現とドローン3飛行の実証実験が行われています。そのうちの1つ、北海道 上士幌町で、配送サービスの実証実験が行われました。こちらには、ドローンジョプラスも参加しました(当日の様子は、こちら)。
北海道 上士幌町は、町の人口の35.3%が65歳以上の高齢者であり、町の中心部からやや離れているため、ドローンの配送サービスを導入することで、配送サービスがより行き届きかつスピードが向上することが期待されています。
また、実証実験を行ったうえで、新聞配達にてドローン配達の活用(実用化)が2023年12月になされています。
レベル3.5飛行が設定されたことで、着陸地点やルートの地上地点に補助員を置く必要がなくなり、より現実的に遠くの地域へ飛ばすことが可能になりました。
今後は、配送サービスが行き届きにくい山間部や海上輸送など人がいない地域でのドローンサービスがより拡大していくのではないか?と予想されています。
2015年の法律の制定から始まり、9月にレベル3飛行が開始され、たった3か月で実証実験が行われるなど、驚くスピードでドローン業界の法律の整備が行われています。
この背景には、ドローン市場の急速な拡大があるためだと考えられます。
2022年度の日本国内のドローンビジネスの市場規模は3086億円(前年度比33.7%増)
2023年度には前年度比24.0%増の3828億円に拡大し、2028年度には9340億円に達すると見込まれています。
(参考:「2023年度、日本国内におけるドローンビジネスの現状と今後の展望」;公正取引委員会事務総局)
ドローン市場の拡大とそれに伴う法整備により、ドローンが生活の一部になっていく日も間近に迫っているかもしれませんね!
今回は、「レベル3.5飛行」をテーマに新設の背景やレベル3.5飛行とはなにかを他のレベルとの比較を通してまとめてみました。
ドローン業界において、徐々に新しく法律や制度が制定されてきており、最新の情報を正しくキャッチアップしていくことが、ドローン操縦者として大事だなと感じました。
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