みなさんはドローンにどのようなイメージを持っていますでしょうか。
「プロペラが付いていて空を自由に飛び回るもの」「空撮に使うもの」「ドローンといえば空!」そんなイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実は水上や水中といった水周りの環境でも活躍しているのをご存じでしょうか?
今回はそんな水辺で活躍するドローン達を用いた実証実験の例をご紹介します!
2022年3月30日に大手通信会社と大学が連携して、水中ドローンを活用した実証実験が行われました。
検証項目は以下3点です。
・水中ドローンによる撮影映像のリアルタイム伝送
・いけす内の水中ドローンの遠隔操作
・水中ドローンで撮影した4K映像のアーカイブ共有
具体的な実施内容として、いけすへ沈めた映像伝達用ドローンからの映像を遠隔地へリアルタイムでの共有が行われ、映像を基に作業内容や撮影ポイントの指示が行われました。
また、映像を用いて遠隔操作用ドローンのアームを操縦し、死亡魚を想定した模型の回収実験が行われました。
マグロの養殖において必須となるいけすや水の状態確認、マグロの健康チェックや死亡魚の回収などの作業は、今までダイバーが週に1回、水深10mのいけすに潜ることで行っていました。
これらの作業は作業者にとって負担が大きく、また安全性の面でも問題がありました。
今回、ドローンを活用した実験により、負担軽減につながる可能性が示された他、マグロのストレスという面でも有用なことが分かり、今後のマグロ養殖の更なる効率化が期待されています。
参考:https://businessnetwork.jp/Detail/tabid/65/artid/9037/Default.aspx
空中ドローンと水中ドローンを比較して、最も大きな違いは通信方法です。
空中ドローンは基本的に無線で通信し、信号の届く範囲であれば制限なく操作を行うことができるのに対し、電波が乱れやすく、障害物も多い水中では無線による信号のやりとりが困難です。
そのため、水中でドローンを使用するには常に有線でコントローラと繋ぐ、または信号のやりとりの必要がない自律制御を行う、のどちらかの手法を取る必要があります。
有線には線の届く範囲までしか移動できないという欠点があるものの、給電ケーブルを通すことで長時間の操作が可能になったり、多くの機器を搭載可能になるといった利点があり、作業環境や用途によって使い分けがされています。
今回の実証実験では有線による手法が取られており、水中ドローンから有線で船上へ、船上から無線で遠隔地へという信号のやりとりを行っています。
続いては密漁の監視に活躍を期待されるドローンの実証例を紹介します。
近年、密漁は増加の一途をたどっており、2020年12月1日には漁業法が改正され、密漁に対する罰則が厳しくなりました。
しかし、その後も全国で密漁被害が相次いでいます。
青森県も被害にあっている県の1つです。
特に高級食材のナマコの密漁被害は深刻で、2015年には被害総額1億7000万円におよぶ密漁が行われた他、2021年にもナマコ800kgの密漁が発覚しました。
そこで、密漁の監視に期待されているのが水上を飛ぶドローンです。
自律制御によって、密漁者が現れる可能性の高いエリアを自動でドローンが監視をします。
さらに、可視光カメラと赤外線カメラを両立させることで昼夜問わず密漁船の特定が可能となります。
また、ドローンが不審な船舶を発見した際は、メールによって写真や位置情報の送信が行われる予定となっています。
本システムは検証の後、2023年度の実用化を目指して構築が進められているそうです。
水産業発展のためにもドローンは期待されています。
岩手県では人手やコストを抑えた水産業を目指し、ドローンの導入が検討されています。
それが自律航行と遠隔操作の両方が可能になった船、マリンドローンです。
搭載するユニットを変えることで養殖場の自動給餌、ゴミや汚染物質の回収など多様な役割を持たせるよう、計画されています。
中でも特徴的なのは生体群制御機能です。
これは、水に微弱な電気を流すことで魚群の位置をコントロールする技術で、マリンドローンと組み合わせることで湾内を丸ごと漁場化できると言われています。
所定の大きさに達した魚だけを水揚げ地点に誘導することも可能で、より一層の省力化が期待されています。
現在は2025年の大阪・関西万博での公表を見据えて実験が進められています。
今回は水辺で活躍するドローンを記事にしました。
空だけでなく、水回りでも活躍の場を広げるドローン。
人手で行うには現実的ではない作業も、ドローンを上手に活用することで実現可能な現実が既にきています。
今後も思いがけない活用例を示して、わたし達をワクワクさせてくれそうです。
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