株式会社Kanattaも参画する、伊豆半島4市町との連携協定。
(正式名称は「無人航空機の活用による地方創生の推進に関する連携協定」)
今回は本連携協定でご一緒させて頂いている、点検ドローンのパイオニア・三信建材工業株式会社様に、ドローン事業を立ち上げられた経緯や2021年11月に東京ビッグサイトで開催される国際ドローン展出展について、お話を伺いました!
2021年3月に発表された『無人航空機の活用による地方創生の推進に関する連携協定』(以下「連携協定」と記載)は、伊豆半島4市町の自治体、一般社団法人ドローンコンソーシアム、そしてソリューションパートナーと呼ばれる9つの民間企業から成ります。
今回はこのソリューションパートナーとしてご一緒させて頂いてる三信建材工業株式会社から、代表取締役社長石田敦則氏と開発室長/常務 石田晃啓氏にお話を伺いました!
石田敦則氏―――
三信建材工業は、昭和38年に私の父が創業しました。大手ゼネコンから外壁塗装や防水工事などを請負い、愛知県豊橋市を中心に浜松市や岡崎市へ支店を拡げてきました。
昭和62年には非破壊検査の技術開発に着手したり、平成13年にはひび割れの補修に使う”ペネトレイト低圧注入工法”という技術で特許を取得しています。
その他にも、酸化マグネシウムを使った親水皮膜を作ることで雨で汚れが落ちる新しい外装技術を開発しています。
技術研究はベンチャーと一緒に行っているので、我々は一般的な塗装屋さんとはやや毛色が違いますかね。
石田敦則氏―――
「外壁点検にイノベーションを!」と、平成26年に開発室を創設しました。石田晃啓室長と私の2人でスタートしました。
その頃、福島第一原子力発電所の建屋の中でマルチローターヘリコプターを飛ばした野波教授のことをニュースで知り、早速室長から連絡を取ってもらい、会いに行きました。
野波先生と直接お会いしお話を伺ったことで、非GPS環境下でのドローン技術の必要性を感じ、先生の研究所と共同で研究開発させて頂くことになりました。
その当時、笹子トンネル天井板落下事故(平成24年12月)を受け、社会的にインフラの老朽化が問題視され、5年ごとに点検強化するなど、法改正がありました。
それに伴って、橋梁・トンネル・ダムの新しい点検技術やロボット技術の公募がスタートした頃でした。
(野波先生がいらっしゃる)千葉大学と研究をしていたので、こちらに目標を絞り、約5年間様々な環境で実証検証に参加してきました。
ドローン事業の取り組みを始められてから今日に至るまで、実用化に向けた実証実験の連続だったとのことです。現場でのドローン技術開発の苦労話から、今回の連携協定に至った経緯についてもお聞きしました。
石田敦則氏―――
我々が扱う産業用ドローンは市街地で飛ばすには不向きなんです。実証実験をしようにも、飛ばせる場所がありませんから、検証も練習も出来ませんでした。
「橋梁を貸して下さい」と言っても貸してくれる自治体なんて、まずありませんよね(笑)
そこで、市街地向けには”外壁点検昇降ロボット NOBORIN”を開発しました。
平成27年に『あいちロボット産業クラスター推進協議会』がスタートし、無人飛行ロボット活用ワーキンググループに入会しました。
愛知県はもともと自動車、航空・宇宙産業が盛んで、第三の産業としてロボット産業を位置づけ、積極的に取り組んでいる背景があります。
このワーキンググループに参加したことで、愛知県内の廃校や非GPS空間で実験が出来たり、神奈川県厚木市にある『さがみロボット産業特区プレ実証フィールド』などを利用させて頂くことが出来ました。
開発室を創設し、ドローン事業をスタートして5年が経った平成31年、国土交通省が発行する『点検支援技術性能カタログ(案)』に三信建材工業の技術を取り上げて頂きました。
7つの技術の内4つがドローン技術で、そのうちの1つに三信建材工業も選出されました。(「非GPS環境対応型ドローンを用いた近接目視点検支援技術」)
「これでいよいよこれまでの努力が報われる、やっと仕事になるぞ!」と思ったのですが、発表後も問い合わせや受注は全くありませんでした。
新しい技術があってもみんななかなか使わないんですね。
それから半年後、国土交通省が主催する道路メンテナンス会議で新技術の説明会をさせて頂いたことで、今では京都府や青森県をはじめとした全国の国道事務所から発注を頂くようになりました。
今年に入ってからは、行政の積極的な協力もあって、国土交通省発行の「港湾の施設の新しい点検技術カタログ(案)」に掲載されました。
石田敦則氏―――
今回ご一緒させていただいている東急株式会社の三浦氏が私の浪人時代からの友人だったことがキッカケなんです。
Facebookを通じてお互いの活動については知っていたのですが、2年前の展示会で三浦氏と「何か一緒にやれることがあったら面白いね」という話から今回に繋がっています。
そこからお声がけを頂き、仲間づくりをした結果が今回の連携協定実現となりました。
新技術を水平展開していくためにも、点検用のドローンライセンスのためのスクールを検討した際、実地研修の場所を思案していました。
福島ドローンフィールドでスクーリングをという話もありましたが、遠すぎて現実的ではありませんでした。
そんな話をしたところ、東急さんから「伊豆で実施してみては」とお話を頂き、伊豆半島2市2町との連携協定がスタートしました。
石田敦則氏―――
官民で構成される”東三河ドローン・リバー構想推進協議会”に加入し、地元の豊川市・新城市でもドローン利活用を拡大を考えています。
これまでの経験から、「出口がないと実装化しない=商売にならない」ことを体感していたので、まずは発注仕様書を作るところから、コンサルティング会社と行政、そし我々三信建材工業の三者で一緒にやっています。
他にも行政主導で廃校や橋梁、県とも協力体制を整えてもらいながら、精力的に活動しています。
実証実験出来るフィールドは不足していて、まず探すところから、という現状においては、こういった行政のバックアップは大変頼もしいものです。
こういった行政との具体的な連携面においても、東三河ドローン・リバー構想推進協議会で培ったものを伊豆半島の連携協定に移植できたらとも考えています。
ドローンをはじめ、建設設備や点検機器などに携わる関係者が一堂に会する展示会は、新技術のお披露目や新サービスを打ち出す場としても、新たなコネクションが作れる場としても欠かせません。
展示会にも積極的に参加されている三信建材工業、これまでの出展やそこでの出会いなどお話をお聞きしました。
石田晃啓氏―――
三信建材工業がドローンを携えて最初に出展したのは、東京ビックサイトで開催された建築建材展でした。当時はドローンがまだ普及していなかったこともあり、その物珍しさでカタログだけは1000部以上配ることができました。しかし、そこから実際の業務に繋がった案件はゼロでした。
石田晃啓氏―――
三信建材工業はドローンを使ったサービス展開をしていますので、継続して出展することで反応が増えてきています。
展示会がキッカケで具体的な仕事に繋がった一つに、日本製鐵傘下の”日鉄パイプライン&エンジニアリング”の案件があります。
こちらでは、製鉄炉のガスパイプラインの点検業務を実証実験させて頂いており、ここからプラント関係に波及して製鉄所や関連施設へと広がっています。
また、日本建築ドローン協会(JADA)の宮内先生とは、展示会のブースへご来場頂いたことがキッカケで出会いました。
私自身、研究所で一緒に学ばせていただいたり、研究事業や補助事業に共同で参画させていただいています。
石田敦則氏―――
点検のため、産業用ドローンでスタートしているので、最初から一眼レフなど高性能カメラを搭載しています。
国土交通省の定める基準値をクリアする”精度”が強みだと思います。
現在、建築や土木の現場で使われているドローンとは精密度が違いますし、GPSに頼らない”自己位置推定技術”もまた強みではないでしょうか。
インタビュー当日、日中は岡崎市の雨山ダムでドローン点検をされていらっしゃったというお二人。
三信建材工業の技術開発を支えるお二人は、日々現場に足を運びながら次の問題解決のために情報発信や情報収集にも取り組まれていらっしゃるのが印象的でした。
技術開発に貪欲に取り組まれているチャレンジ精神こそ、三信建材工業を進化させ続けている原動力であり、それが企業文化として深く根付いているのを感じるお二人のお話でした。
新技術の開発に挑み続けることを楽しみ、変化し続ける世の中に対応しながらビジネスを創出している三信建材工業のように、私たちドローンジョプラスも楽しみながら新たなチャレンジをして、連携協定にとどまらない、コラボレーションを実現させていきたいですね!
三信建材工業株式会社:https://sanshin-g.co.jp/
国際ドローン展は11月24日〜26日、東京ビッグサイトで開催されます。
初日の24日は主催の日本ドローンコンソーシアムによるJDCフォーラムにて、JADAの宮内先生や東三河ドローン・リバー構想構想推進協議会の特別講演と充実のスケジュールです。
第7回 国際ドローン展|第7回 国際ドローン展
メンテナンス・レジリエンスTOKYO2021|日本能率協会
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