2021年7月、2020東京オリンピック開会式で世界に向けて披露されたドローンによる演出は皆さんの記憶にも新しいことと思います。
その東京オリンピック開幕から遡ること約1年半前の2020年4月、金沢市に”ドローンのプロフェッショナル集団”として株式会社ドローンショーは誕生しました。
今回は株式会社ドローンショー代表取締役の山本雄貴氏に、ドローンショーにかける想いや今後の展望についてお話を伺いました。
山本氏―――
私自身、石川県金沢市の出身なので地元である金沢市で創業しました。
高校卒業後は進学と同時に上京し、そのまま15年間ほど東京のスタートアップ界隈で働いていました。
金沢に戻るキッカケとなったのは、2016年当時、参画していたスタートアップ企業が上場し、IPOを行ったことでした。
これを一区切りとし、次は何に挑戦しようか?と考えていましたが、
「地元である石川県や地方でスタートアップを立ち上げ、世界と戦いたい!」
「東京や大都市圏では簡単に真似できない市場でチャレンジしたい!」
という想いはずっと残っていました。
山本氏―――
最初にドローンショーを見たのは、2018年の平昌冬季オリンピックの開会式でした。
ドローンの自動操縦による演出が印象的で、興味を持ちました。
そこで早速日本の航空法や電波法を勉強し、なぜ日本でドローンショーが普及していないのかを調べました。
その結果、日本のドローンに対する規制の厳しさに加え、ルールを守っていたとしても通報されてしまうような現状があることを知りました。
東京のような人口密集地は人の目につきやすく、通報されるリスクも高いということもあり、地方のほうがドローンを飛ばすには有利なのではと思い立ちました。
東京にいた10年以上の間、スタートアップに関わり自分で会社を設立した経験はあったものの、ウェブサイトやモバイルゲーム開発といったソフトウェア領域に特化していました。
初期投資が比較的少なくて立ち上げられるソフトウェア開発に対し、ドローン機体を大量生産する際に必要な初期投資は比べものにならないほど高額でした。
そもそもドローン自体を自分たちで作る必要があることは、後から知ったのですが。
「そこから自作するのか!」と。(笑)
山本氏―――
初期投資が億単位で必要になったため、自己資金の不足は投資家の方へ出資をお願いしました。
ドローンショーは中国やドバイ、サウジアラビアではすでに当たり前になっていたので、「新しいエンターテイメントとして日本でも必ず普及する」と確信していました。
自作のドローン6台を投資家の方々の前で披露し、「今はまだ珍しいものでも、いずれドローンショーが当たり前になる。自分はその先駆けになりたい。ゆくゆくはこれを何百台にして飛ばしたい。」とビジョンを語り、出資を集めることが出来ました。
山本氏―――
最初はドローンショー事業をやろうと決めてから出会った、現CTO(技術責任者)の田川氏と二人からスタート。
ドローンの機体一つ作るにも情報は英語か中国語ばかり。そこで、IBM出身で英語が堪能なエンジニアの田川氏が、海外の先行企業にコンタクトを取って北欧まで視察に行ったり、開発の資料を集めてきて「これならできそうだ!」と確信しました。
我々はあくまで開発会社だと思っていて、ドローン機体の開発やハードウェアのメカニック、安定飛行を実現するソフトウェア開発の担当者やプロダクトデザイナーが集まった会社です。
機体のハードウェアについては、開発を続けていけば世界で戦えると考えています。
安全面や品質はすでに世界と戦えるレベルで、さらにアップデートし続けた先には自社の機体をインテルといった海外の企業が購入し、ドローンショーに使用することも可能かもしれません。
まずはシステムを提供すれば誰でも安全に実施出来る、そんなサービスを目指したいですね。
山本氏―――
現在のメンバーは、ニュースを見てコンタクトしてくれた人もいるし、それぞれいろんな経緯があって集まっています。
地元金沢市にある金沢工業大学の卒業生も多く、チームとしては23~24歳と若いチームです。
東京を離れ地元で自社サービスを展開する会社を実現した結果、地方でいい人材と出会えたことはいい意味で誤算でした。
ドローン業界自体が始まったばかりで、突出したプロフェッショナルはおらず、開発のやり方も毎年毎年洗練されています。
この今の状況は、初期のパソコンやインターネットが始まった時期に似ているなと思っていて、ごくごく限られたメカニックオタクが「アキバ」でパーツを集めてパソコンを組み立て、改造してインターネットにアクセスする、そんな感じです。
ゆくゆくは、今のインターネットやパソコン同様、ドローンを使ったサービス開発が簡単に出来るようになるでしょう。
山本氏―――
2020年4月に金沢港クルーズターミナルの完成記念式典にお声掛け頂いたことをキッカケに、地元でドローンショーをお披露目する機会を頂きました。
今だから言えますが、実は本番前日までうまく行かず土下座も覚悟して臨みました。(笑)
一か八かという心境で臨んだ本番、無事1台も落とすことなく成功した時には感動よりホッとしたというのが正直なところですね。
100台規模のドローンショーの場合、6〜7人で現場に入ります。パソコン操作や設定をするオペレーターと副オペレーターの2人、会場の保安要員として3〜4名、万が一の時に自動操縦からマニュアル操縦に切り替え対応するプロポ要員が1名、といった構成です。
東京オリンピックの影響もあり、日本中から問い合わせを頂いています。
役員含めて15名ほど在籍していますが、事前の現地調査からイベント当日のオペレーションまですべてを社内で賄っているため、人員を割く事が出来ず泣く泣くお断りしている案件もあるのが現状です。
山本氏―――
「ドローンショーをやりたい」というお問い合わせを頂く中で、開催時期がクリスマスや花火大会といった年中行事に集中することが多いです。
今のように自分たちがドローンを持って現地に行って実施するスタイルから、現地でのオペレーションを切り離すことで、「日本や世界のどこであっても同時多発的にドローンショーを開催出来るようにすること」をまずは実現したいですね。
山本氏―――
都内で空撮のお仕事をさせていただく時など、残念ながら「ドローンを飛ばすのは危険なこと」というイメージを持っている方が多いなと感じます。
ルールを守って飛ばしていても、ルールを知らない方からすると「ドローンを飛ばすこと自体が問題だ」というこの状況で、ドローンショーだから出来ることもあると考えています。
ドローンショーはドローン自体を見て頂き、その魅力がダイレクトに伝わるからこそ、”物は使いよう”だということを証明していけると考えています。
こちらは前述の金沢港クルーズターミナルでお披露目となったドローンショーの様子です。
ドローンによるエンターテイメントショー、機体自体が発光し色を変え、形を変えて夜空を彩るドローンの姿を新鮮に感じる方も多いのではないでしょうか。
「この先日本でもドローンショーは当たり前になる。」と確信に満ちた山本氏の言葉は印象的でした。
確かに、この動画だけでもドローンだからこそ出来る演出の数々に目が釘付けになりました。
ドローンならでは演出の可能性を無限大に広げている、山本氏率いるスペシャリスト集団ドローンショーの今後の活躍に目が離せません。
株式会社ドローンショーによるドローンショーを日本各地、そして世界各地で見ることができる日が待ち遠しいですね!
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