愛知県豊田市は、自動車産業をはじめとする「ものづくり」で有名な日本屈指の産業都市です。
そんなイノベーションに溢れる土壌・豊田市を中心に、子どもからお年寄りまでを対象としたドローン教室を開催しているのが「ドローンチームNadeshiko」です。
今回は一般社団法人ドローンチームNadeshiko代表理事 汐江満理子氏にお話を伺いました!
「ドローンチームNadeshiko」は愛知県豊田市を中心に、ドローンを使った親子体験教室やドローン練習クラブを企画・運営していらっしゃいます。
愛知県で活動するドローンジョプラスメンバー・みかりんさんから「地元に気になるドローンチームがある!」と情報提供をいただき、今回の取材が実現しました。
「ドローンチームNadeshiko」創設の経緯や背景を伺いながら、活動に対する想いや今後に向けての展望を代表理事の汐江氏にお聞かせいただきました!
汐江氏ーーー
2018年から子ども向けのドローン体験教室をスタートしました。
ドローン操縦体験や子ども向けにプログラミングでドローンの操縦を教えています。
日本で初めて人を乗せたドローンの飛行に成功したのがこの豊田市でもあり、子どもたちにも身近な話題を盛り込んでいます。
もともと保護者の立場からもSTEAM教育には着目しており、「問題を解いたり、知識を実社会でどのように応用していくか」を考えることにドローンは活用しやすく、時代にマッチしていると考えました。
我が子が小学生の時に、春日井市で開催されたドローンプログラミング教室を見つけ、さっそく参加しました。
4回の講座が終了した時点で身についたことはプログラミングでドローンを動かす方法のみ。
当時はドローンを使ったプログラミング教室は周囲に見当たらず、このまま終わったらもったいない!「未来」に繋がる経験をさせたい!と感じたのが今の活動の大きな動機になりました。
そこで、専門家の方々の知見をお借りしながらドローンを使ったプログラミング的学習に取り組み始めました。
2020年から学校で取り組みが始まったプログラミング教育も、地域や学校によって温度差があると感じています。
そこでドローンチームNadeshikoの講座では、ただドローンを体験する場ではなく、「自分で考える」機会も大事にしたいと考えています。
そのために座学の時間は安全に関する法令法規だけではなく、関心があること・身近な困りごとに紐づけるような工夫もしています。
例えば、実際に社会でドローンが使われている場面を紹介した後、「じゃあ、あなただったらドローンを使って何をしたい?どんな困りごとを解決できるかな?」と問いかけます。
すると「大好きなコアラを救うために、ドローンを使って山火事を消したい!」とか、自由な発想から考えて発言が生まれます。
今ある職業は10年後、20年後にはないかもしれない、だとしたら「何かの役に立ちたい」という考えから、新しいことを創造していくことも大事になりますよね。
プログラミング教育を通じて、『自分で考えて、意見を人に伝えること』も大事にしています。
汐江氏ーーー
2021年から豊田市で官民連携の介護予防プロジェクトがスタートし、ドローンチームNadeshikoも2021年7月から参画しています。
このプロジェクトは、シニアの介護予防にドローンを活用する目的で屋内でのドローン体験会を実施しています。
この体験会は「ドローン技術を身につける」だけではなく、「ドローンを中心としたコミュニティ形成」も目的の一つにしています。
基本的な操縦方法、安全座学、ドローンが活躍する未来を想像する場として、テクノロジーに興味のあるシニアの方々が外に出ていく機会を作ることにも役立っており、ご家族やお孫さんとの会話も変わってきているとお聞きしています。
ドローン操縦には、指先の細かな動作や空間認識能力を必要とするため、それらの機能維持に繋がる可能性も視野に入れ、理学療法士さんなどの専門家にもご協力頂いているところです。
Nadeshikoのメンバーに高齢者福祉に従事する社会福祉士も在籍しており、今後の展開も楽しみなところです。
汐江氏ーーー
ドローンとの出会いは、ドローン元年といわれる2015年のことなので、ドローン歴は7年になりますね。
きっかけは、当時勤めていた写真館の社長が「これからはドローンだ!!」と、肝入りで取り組み始めたことでした。
航空法も何もない時代に、撮影業者としてドローンで空撮をするため国交省に直接連絡をしたり、自分たちでマニュアルを作ったりと暗中模索の日々でした。
人の少ない早朝にインスパイアやファントムといった機体を使って撮影していましたが、私自身はその大きさや重さから「落ちたらどうなるんだろう?」と不安視していたのも正直なところです。
その後、豊田市の広報用の空撮素材を撮影させていただいたり、たくさんの作品に触れて、空撮写真や動画のもつ魅力をじわじわと実感したという感じです。
写真館勤務時代、「ドローンを使って牧草地の柵の点検が出来ないか?鳥害対策には使えないだろうか?」と他の事業者の方と様々な実証実験に参加していく中で「ドローンの可能性はどの分野にも繋がる!」と考えるようになり、今の活動の下地になっていますね。
当時のあのきっかけがなかったら、きっと今でも「ドローンは自分とは縁のないもの」と思って過ごしていると思います。(笑)
汐江氏ーーー
現在、「ドローンチームNadeshiko」は私を含め、6名のメンバーで活動しています。
立ち上げ当初から一緒に動いてくれているメンバーの三村は、子どもがお腹にいたときからのママ友です。妊婦時代からの付き合いですから、もう16〜17年の付き合いになりますね。
チームに参加している動機は、「ドローンを飛ばして空撮をしてみたい」方やカメラマンをやっている方、受講者のママや何となく巻き込まれた方(笑)など様々です。
それぞれ自分の仕事がありながら、この活動にも参加してくださり、「この日イベントが入ったから誰か手伝って」と声をかけたら、誰かしらが調整して活動が続いています。
汐江氏ーーー
毎年豊田市の行政機関から受託し講座を実施していますが、科学技術学習振興会の会長さんからプログラミングを通して「伝える力」を高く評価していただきました。
コロナの影響もあり、現在は「親子」で参加する講座に切り替えていますが、親子が双方向に「聞きながら伝える」ことを繰り返し、プログラムを組み、結果がドローンを通してすぐに「見える」ことで、親子の連携が密になっていることも評価頂けている点だと思います。
実際にプログラミングで動かす時には、子どもが「こう動かしたい!」という意見に口をはさみたくても我慢している親御さんの姿や、お父さんが主導で進めている姿など様々です。親が子どもと同じかそれ以上に興味を持って取り組んでいる姿に子どもも必ず感化されますし、感染症が収まれば、本来の目的通り友達同士でできたらと考えています。
2022年度以降、力を入れていきたいことは今やっている教室運営を体系化・文書化し、同じようにやっていきたい人にお伝えすることです。現状では、関われる方や範囲に限界があると感じているため、今後は人を育てていくことにも注力したいと考えています。
私個人の関心事として「ニューロダイバーシティ」があり、臨床心理士の方が主催するゼミに数年来参加しています。
発達障害学習サポーターの資格も今の活動に繋げることができないかと考えています。
例えば、引きこもっている子がドローンを通してコミュニケーションをひろげることができたり、自由な発想から生まれるアイデアをドローンで活用できないかと考えています。
最初は緊張の面持ちでスタートした取材ですが、お話を伺っていくうちに汐江氏の表情がどんどん晴れやかになり軽やかにお話される姿に、本当に意義を感じてこの活動に取り組み楽しまれているのが伝わる時間でした。
お話のところどころで感じた「まずはやってみよう!」という前向きなパワー、2022年3月に開催されたとよたビジネスフェアで見たという新しい技術について語るワクワク感がとても魅力的でした。
今回取材に同席したのみかりんさん(活動についての想いを語っていただいた記事はこちら)は現在、豊田市在勤ということで、今後またご一緒させていただく機会があればというお話も。
ドローンに関わる人々の輪がますます全国に、そして女性の間でも広がる可能性を感じました。
引き続きドローンジョプラスとしてその一助となるべく様々な情報発信を続けていきます!
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